一般内科
ヒトがかかる病気は非常にたくさんあります。そのため、心臓を中心とした循環器系、肺や気管支を中心とした呼吸器系、胃や腸などの消化器系など、専門領域ごとに様々な診療科が設けられています。しかし、一般の方の中には、例えば「体調が優れなくて食欲もないけれど、胃腸に痛みがあるわけではなく、どの診療科を受診すればよいのか分からない」と思われている方も多くおられます。そのような方の問診を行い、必要に応じて専門的な大学病院や専門診療科を紹介する役割も担っています。
一般内科

このような症状はご相談を

高熱が出た、熱が下がらない

発熱の原因は感染症ばかりではありません。リウマチのような膠原病、癌をはじめとした腫瘍などもありますが、皆さんが経験する病気で多いものは圧倒的に感染症です。
最も診断の助けになるものは「熱の他にどんな症状があるか」です。この「熱+〇〇」を見つけることが診察で大事になります。
例)
■熱+頻尿・排尿時痛・血尿:おしっこの通り道の感染(膀胱炎など)
■熱+呼吸苦・咳・痰:空気の通り道の感染(肺炎など)
■熱+腹痛・下痢:食べ物の通り道の感染(腸炎など)
熱が上がってくると頭痛、関節痛・筋肉痛、寒気、ぼーっとするなどの症状が出ます。これらはすべて発熱が原因で説明がつく症状です。つまり発熱していなくても、これらの症状があるということは、これから熱が出るサインかもしれません。
発熱の定義は37.5℃以上を指しますが、平熱が低い方もおられるため、37.5℃以下であっても、上記症状がある方はご相談ください。

喉の痛み・違和感がある

「喉が痛い」「喉がイガイガする」といった症状で医療機関を受診される方はとても多いです。
原因は「のど風邪」を含む感染症の場合もあれば、そうで無い場合もあります。
喉の痛みの原因の多くはやはり感染症で、8~9割がウイルス性、残りが細菌性と言われています。
ウイルス性は、いわゆる「のど風邪」です。
特別な治療法があるわけではなく(薬を出すとしても対症療法)、また特に治療せずとも1~2週間で自然に治ります。診断としては他の細菌性疾患を否定することで診断します(除外診断)。念のためと抗生剤を処方する、または希望される方もおられますが、抗生剤にも副作用が多く、薬剤耐性菌もできやすくなるため安易な内服は控えましょう。

咳が止まらない、咳が長引く

咳は気管や気管支の分泌した物質や異物を取り出すための体の防御反応です。
持続時間から3週間以内の急性咳そう、3週間以上継続する遷延性咳そう、8週間以上持続する慢性咳そうに分類されます。
急性咳そうの多くは呼吸器感染症が原因ですが、持続時間が長くなればなるほど、原因に感染症が占める割合が少なくなってきて、慢性咳そうでは感染症以外の原因があると考えられています。
慢性咳そうの原因は、副鼻腔気管支症候群、咳喘息、アトピー性咳そうの順で多く、逆流性食道炎も増加してきていると言われています。
慢性咳そうは、胸部レントゲンや血液検査で炎症反応異常あれば診断は難しくありませんが、異常がない場合は、一番疑わしい病気として治療をしてみて、その効果をみるということになります。

胸やけがする

上腹部の真ん中、胸のあたりの焼けるような感じ(灼熱感)が、いわゆる「胸やけ」といわれる症状です。胸の痛みや不快感を伴うこともあります。
胸やけの原因で最も多いのは逆流性食道炎です。胸やけは、暴飲暴食をした時やストレスを感じた時などにも起こるため、症状が一時的で繰り返さないのであれば、あまり心配する必要はありません。しかし、胸やけが長い時間続いたり、頻繁に繰り返す時は、潰瘍や癌または心臓の病気のこともあるため、医師の診察を受けることをおすすめします。

食欲がない

食欲不振はさまざまな原因によって起こりますが、急性胃炎や慢性胃炎など、胃を中心とした上部消化管の病気や、ストレスなどがある時に起こりやすくなります。1~2週間という長期にわたって食欲不振が続き、体重が急に減っていくような場合には胃癌や膵臓癌などの病気が起こっていることも考えられます。

食べているのに体重が減る

下記のようになかなか気づきにくい病気が多いですが、「体重が減る」以外に症状があることが多いです。
■糖尿病の場合:体重が減るほど進行している場合には口喝・多飲・多尿を伴います。
■バセドウ病の場合:(体を元気にする・代謝を良くする)甲状腺ホルモンが多く分泌されてしまう病気ですが、脈拍数が増えたり、手の指が震えたりします。
■リウマチをはじめとした膠原病の場合:体内の様々な関節や筋肉・血管で炎症を来す病気で、長期間の炎症により全身がむしばまれ、体重が減ってしまいます。
いずれも血液検査が主体の検査方法です。

胸が痛い

胸の痛みは、心臓に関係していることも多いので大変気になる症状のひとつです。急激な、激しい痛みが起こった場合には緊急に病院を受診する必要があります。最も怖いのは心筋梗塞ですが、胸の痛みは多くの場合胸の中央部分が締め付けるように強く痛みます。解離性大動脈瘤では胸から背部にかけて強い痛みが起こり、やはり緊急性があります。呼吸器疾患として肺に穴が開く気胸や肋膜炎など場合にも胸痛を自覚することがあります。また、胸の表面で痛みを感じる場合には肋間神経痛や筋肉痛のようのものが多く、緊急性はありません。胸痛が起こった場合には、いつから、どの部位に、どの程度の強さで、どのくらい持続しているか、他の症状があるか、などを教えてください。

お腹が痛い

おおまかにお腹の上の方は胃・肝臓・胆嚢・膵臓、下の方は小腸・大腸と分けますが、それぞれの臓器が痛む理由には以下の特徴があります。
■胃(胃炎、胃潰瘍):シクシクとしたみぞおち付近の痛みが出ます。吐き気や吐くことが多く、食事をとると胃酸が出るため痛みが悪化します。
■十二指腸(十二指腸炎、十二指腸潰瘍):こちらもみぞおち付近に痛みが出るため、胃炎と区別がつきにくいですが、胃炎との判別は食事をとると楽になることがあります。
■肝臓(肝炎):肝臓は右わき腹にあり、沈黙の臓器とも呼ばれ基本的には「肝臓が痛む」ということはありません。急性肝炎・肝膿瘍・クラミジア感染症などでは痛みが出ることもありますが、その場合は発熱・吐き気など他の症状を伴うことが多いです。
■胆嚢(胆石、胆嚢炎):胆嚢は肝臓に木の実のようにぶら下がっているため、みぞおちや背中や右わき腹など胆嚢の向きによって痛む場所が変わることがあります。飲酒・食事をきっかけに痛くなり、吐き気が伴うことが多いです。
■膵臓(膵炎、膵臓癌):膵炎では飲酒や胆石の落下を原因にみぞおちや背中が痛くなります。膵臓癌では癌細胞が背中の神経叢に浸潤するため持続する腰痛が出現することがあります。
■小腸・大腸(腸炎、虫垂炎、憩室炎、便秘):小腸と大腸はあわせて7-8mもあり、それが折りたたまれてお腹にしまわれています。つまりその中のどこを便が通っているか、どこで炎症が起きているかによって痛む場所は変わります。腸の痛みは「腸が動く」ことによって起きます。「痛いときと楽な時で波がある」と話す患者さんが多いです。
虫垂炎(盲腸)では発症から数日でみぞおちから右下腹部へ痛みが移動することが有名です。進行すると吐き気がひどく食事がとれなくなります。

禁煙外来

タバコがやめられない一番の原因は、タバコに含まれるニコチンという依存物質です。禁煙治療では、内服薬でニコチン依存症を治療することで、タバコを吸わない時のイライラや辛い症状を起こさせません。無理なく楽に禁煙治療を行えます。
3ヶ月間で5回の受診が必要です。保険が効きますので、費用は安くて済みます。使用する薬にもよりますが、約3ヶ月の治療スケジュールで13,000円~20,000円程度です。禁煙の成功率は70%とされています。
※禁煙外来に健康保険を適用するには一定の要件があります。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に呼吸の停止を繰り返しており、熟睡できずに日中に過度の眠気や、様々な合併症・夜間突然死などの関連が指摘されています。健康と思われる成人の中にも睡眠時無呼吸症候群の患者さんは数多く存在しており、人口の2~3%の割合と推定されています。
これまでは入院して大掛かりな検査機器を用いないと診断ができませんでしたが、当院では携帯型検査機器を導入しており、ご自宅で一晩だけ寝る前に装着していただくだけでとても簡単に検査ができます。
診断結果を踏まえて医師が診断を行い、CPAP療法など最適な治療法をご提案します。
強いイビキ、夜間に何度もトイレに起きる、起床時の頭痛、日中の眠気や疲れなどがある方は、ご相談ください。

甲状腺疾患

当院では甲状腺の外来を行っています。
甲状腺ホルモンの異常として、バセドウ病・橋本病などがあります。
■バセドウ病:甲状腺ホルモンが出過ぎてしまう病気で、頻脈・発汗・体重減少・眼球突出などの症状がみられます。亜急性甲状腺炎や無痛性甲状腺炎など、別の疾患の可能性もあり、その場合は治療法が全く異なるため的確な診断が必要です。
■橋本病:甲状腺ホルモンが出にくくなってしまう病気で、徐脈・体重増加・浮腫・疲れやすいなどの症状がみられます。血液検査や甲状腺エコーなどで診断し、治療は甲状腺ホルモン補充療法を行います。
甲状腺は首の前面に位置しています。甲状腺の晴れがある場合には、甲状腺エコーを行い腫瘍の有無を判断し診断を行います。気になる症状がある場合には、早期に受診することをおすすめします。